時代小説「琴海の嵐」を2023年12月に文芸社より、出版しました。主人公は、渡辺昇。大佛(おさらぎ)次郎(じろう)の「鞍馬天狗」のモデルとされる人物です。表題の「琴海」とは長崎県の大村湾のことで、渡辺昇は琴海を擁する大村藩に生まれました。渡辺昇は、剣の修行をするために藩費で江戸に出て、江戸三大道場の一つ、神道(しんとう)無念流(むねんりゅう)練兵館道場に入門しました。そして、時を経ずして、その塾頭に就きました。前の塾頭は長州藩の桂小五郎、言わずと知れた明治維新の元勲、木戸孝(たか)允(よし)です。この二人は、義兄弟の契りを結び、自ずと渡辺昇も勤王の志士として、尊王攘夷の只中に身を投じ、その活躍を本書に記しています。
渡邊昇は広い交友関係を持ち、桂小五郎のほかに、高杉晋作、太田市之進、伊藤博文、三条実美、土方楠左衛門、坂本龍馬、中岡慎太郎、西郷隆盛、五代友厚、加藤司書など、多彩です。敵(かたき)役である新撰組の近藤勇さえも、昇の若い日の飲み仲間でした。
本書は、幕末から明治維新にいたる5年ほどの期間の歴史の流れを背景に、渡辺昇の縦横無尽の活躍を描きましたが、当時の日本人の鼓動を感じていただければ嬉しく思います。
以下、このブログで、順次、紹介していきたいと思います。